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図面に残らない“余白”の話

建物づくりには、必ず図面があります。寸法や素材、配置や高さ。

完成に向けて必要な情報は、すべて図面に落とし込まれています。

けれど、図面だけでは伝えきれないことも、確かに存在します。

それが、図面には残らない“余白”の部分です。



たとえば、光の入り方。

同じ窓の大きさでも、周囲の建物や時間帯によって、感じ方は変わります。

図面上では同じでも、実際にその場に立ってみないとわからないことがあります。


音や風、においもそうです。車の音がどの程度届くのか、風が抜ける方向はどちらか。

暮らしの中では大切な要素ですが、数字だけでは表現しきれません。




現場では、そうした小さな違和感や気づきが生まれます。

「ここは少し余裕を持たせたほうがいい」

「この動線は、もう一度考えたほうがいいかもしれない」

そんな声は、図面の余白に書き込まれることはありません。



だからこそ、私たちは現場に足を運びます。

完成後の暮らしを想像しながら、図面に描かれていない部分に目を向けるためです。



余白とは、曖昧さではありません。

むしろ、その人らしい暮らしに近づくための余地だと考えています。

きっちり決めすぎないことで、生まれる心地よさもあります。


図面は大切です。

でも、図面だけで家はできません。

そのあいだにある、言葉にならない感覚や判断の積み重ねが、住まいの居心地をつくっていきます。



図面に残らない余白を、どう扱うか。

そこに、私たちの仕事の姿勢が表れるのだと思っています。

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